あめゆじゅ

看護師の渡辺いずみです😊
私ごとですが、先日、学会で盛岡に行ってきました。

参加してきた学会のテーマが、「あめゆじゅ」を求め、向き合い、そして支える。
「あめゆじゅ とてちてけんじゃ」
宮沢賢治の詩『永訣の朝』に出てくる言葉です。
病床の妹トシが兄である賢治に向かって繰り返し
「あめゆじゅとてちてけんじゃ(雨雪をとってきてください)」
と頼む場面は、病苦の極みに置かれた人の願いの、最も切実な姿を映しています。この言葉は、もちろん喉の渇きを癒したいという生理的な欲求であったかもしれません。
しかし賢治は、その言葉を、単に「水」を求める一言としてではなく、
『死を前にした妹が、自分の生き方を最後に照らし出してくれた願い』として受け止めました。
このあと賢治は、
「死ぬといふいまごろになつて わたくしをいつしやうあかるくするために
こんなさつぱりした雪のひとわんを おまへはわたくしにたのんだのだ」と。
切なる“願い”が、贈り物として兄へと届けられる姿です。妹は自らの苦しい身体を通して、兄の〈これからの生き方〉を支えたのです。

私が初めて担当した訪問診療の患者さん。先日、お看取りさせて頂きました。看護師をして30年以上、お看取りの場面には幾度も立ち会ってきましたが、患者さんをお家でお看取りをするのは初めてのことでした。
私はただただ、本人が望むことを叶えることと、一緒にそばにいる家族の不安が和らぐように安心できるように。その思いだけでした。
誰にでも、命の終わりはいつか訪れます。そう分かっていても、いざその現実を目の前にすると、悲しみや不安、どうしようもない気持ちに押しつぶされそうになります。
この患者さんは、ご家族さんも
人生のおわりの時の話しをして、生きるを考えてきました。
この患者さんにとっての「あめゆじゅ」。
真の願いに向き合えたかな。
最後は「ありがとう」の言葉しかでませんでした。
人が人を想う。
だいじなこと。

P.S
今週末11月15日土曜日。
村上総合病院講堂で講演会があります。
参加費は無料、予約はしていません。どなたでも参加できます。
内容は糖尿病についてのお話です。
詳しくは、お知らせをごらんください😊
